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ヴェルグリーズの42田によるおまけイラスト
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イラストSS
真冬の夜は凍えるようにさむくて、ふぅとこぼした吐息はつめたい。エレベーターに乗ってようやくひと息ついたものの、冷える身体はまだ癒されない。
目的の階層にちいさな箱が辿り着いて、エレベーターのドアが開けば、足早に彼の待つ部屋の前まで急いでしまう。
ぽん、と軽く押せば鳴り響く、聞き慣れたインターホンの音色が終わる前に返事が聴こえたなら。がちゃり、玄関の扉が開く。
「おかえり」
ずっと待ってたよ。そんな気持ちを含めたような、やさしい響きを持った挨拶が迎え入れてくれた。
「寒かったよね、コートはこっちに掛けようか」
青年の容をした剣は、やわらかな笑みでシャイネンナハトを共に祝おうと支度を済ませている。
しっかり暖房の効いた部屋はあたたかく、おいしい食事にあまいケーキが食卓の上に綺麗に並んでいた。
だって今夜は、素敵なシャイネンナハトだから。
「今晩は、楽しい夜にしよう」
隠しているプレゼントの中身はまだひみつ。だけどきっと、キミが気に入ってくれると信じている。
この聖夜、キミに祝福がありますように。
その祝福に、俺がすこしでも関わっているならば、それだけでこの夜が素晴らしいものになる。
――これは、そんな夢のひと時の幕開け。
※SS担当者:遅咲