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イラスト詳細

八重 慧のヤぴによる関係者1人+PCピンナップクリスマス2022

作者 ヤぴ
人物 八重 慧
イラスト種別 関係者1人+PCピンナップクリスマス2022(サイズアップ)
登録されているアルバム
納品日 2022年12月24日

3  

イラストSS

 曇天の寒空は予想を裏切らず、その日の夜は雪が舞い始める。
 多聞家の屋敷を目指して帰路につく八重 慧。和傘を差し、緑の長髪を垂らした慧の後ろ姿を見つけた多聞 百華は、秘かにその跡を追った。
 慧の背後に迫った百華は、薄く積もり始めた雪をそっと踏み締める。慧はその足音によって、百華の気配を察した。
「1人で出歩くなんて、不用心じゃないすか?」
 百華は慧の一言にドキッとして目を見張る。百華は一瞬驚いた表情を見せたが、振り返った慧と視線を合わせた途端、ごまかすように照れ笑いを浮かべた。
「おかえり~お土産ある?」
「第一声それっすか? ありますけどね」
 百華の質問に答えるように、慧はクリスマスらしいデザインの紙袋を掲げた。中身のケーキの箱を確認した百華は、更に上機嫌になる。
 充分に厚着をしているとはいえ、百華は寒そうに両腕をさする。百華は当然のように、慧とひとつの和傘の下に収まり歩き出す。
 慧と隣り合って歩く百華は、降り続ける雪を眺めながらつぶやいた。
「雪見もいいけど、流星群も見たかったなぁ」
 夜空は分厚い雪雲に覆われ、星灯りが覗く気配はなかった。今いる地域では拝めないが、慧は街中で見上げた星空のことを思い返す。
「けーちゃんが行ってきたところはどう? 流れ星に願い事できた?」
 「そうっすねぇ……」と言葉を選ぶ素振りを見せながら、慧は百華を見つめ返す。
「願い事は……すでにもう、叶っているというか──」
 一瞬真顔に見えた慧の表情から百華は目が離せなくなり、思わず息を呑んだ。
 何か意味深な間を空けた慧だったが、手に提げた紙袋を掲げて言い添える。
「──主さんが気に入りそうなお土産、見つけられたんでね」
 百華は、どことなく感じた妙な空気感を払拭するように、
「ふーん……じゃあ、期待してるよ♪」
 大仰な反応で、慧のことを小突いてきた。

 ※SS担当者:夏雨

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