イラストSS

　雪が積もった公園を歩む二人。
　折角だから雪だるまを作ろう、なんて話して。雪の広がる平地に小さな雪玉を転がして、少しずつ大きくしていく。
「雪だるまのお師匠さん、ご指導よろしゅうお願いします！　ふふっ」
「お任せください！　きっと素敵な雪だるまの作り方をお教えしますよ」
　えっへん、なんて得意げに胸を張ってみせたボタンにくすくすとはにかんだ蜻蛉。
　ボタンの教導に基づいて雪玉をふたつ。よいしょ、と重ねて作ったこぶりな雪だるま。
「ふぅ。ボタンちゃんに似てきたわ……どやろか、上手いこと出来たと思わん？」
「とってもお上手です、可愛いです！　でも、私も自信作ですよ」
「そやね、耳なんかほんにそっくりやと思うわ。うちも負けてられへんわ」
　ぽんぽん、ぽんぽん、と雪を重ねて固めていく。
　そうだ、と思いついたようにボタンの花を模したコサージュを乗せれば、ボタンは嬉しそうにはにかんで小さな猫耳をふたつ。それから、椿を添えて。
「ふふっ、花飾りもつけてお揃いにしちゃいましょうか」
「バレてしもた。ふふ、折角やもの」
「はい、折角ですもんね」
　春を待つ声は今はもう耳には届かない。今や凍てつく冷気だけが彼女の友ではない。
　冬を望んでくれるたいせつな絆が、此処にある。

　※SS担当者：染