イラストSS

●A man travels the world over in search of what he needs, and returns home to find it.

　女に取っての『お日様』はふたつある。
　そんじょそこらの下級悪魔や吸血鬼と違い、昼間でも支障なく行動出来るが、好きなのは夜の中でも煌々と輝ける勇猛果敢で小さな、けれどとても温かい太陽の方。

　少年にとっての『夜』はふたつある。
　姉の様に慕う――マルベートが居る時と居ない時。最初こそ揶揄われているのだと、共にベッドには入りたがらなかったが、今ではお気に入りの湯たんぽ役に甘じている。

「……ひははっ、マルベートぉっ、くすぐったいぞ〜〜っっ！！」
「ふっふっふ。観念したなら良い仔は早く寝てしまいなさいな」
　ひぃひぃと笑う少年の上から退けた女は、横にごろん、と転がったと見せ掛けて少年の腹を指で突いて。『へぅっ！？』だなんて情けない聲を上げて身悶えていた少年も軈て向き直れば、広げられた腕の中にすっぽりと収まった。

「何時か、何時かさ。エドワードも大きくなったらこんな風に一緒には寝てくれなくなるのだろうね」
「ええ！？　そんなの嫌だぜ。マルベートは何時迄でもオレのねーちゃんで、友達だ！　……でも、」
「でも？」
「俺が大きくなったらさ！　今度は俺がぎゅっと出来るよな！」
「……ふふ、じゃあ期待して待っていよう。さあ、そろそろお休み。『輝かんばかりの此の夜に』ね」

　※SS担当者：しらね葵