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大和型戦艦 二番艦 武蔵の桜海こもによるおまけイラスト
大和型戦艦 二番艦 武蔵の桜海こもによるおまけイラスト
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それは、遡れば随分と昔の話。とある大都市が大震災に見舞われた時、その国の所有する戦艦に乗り込んでいた人々は、なりふり構わず街への救援物資を届けに艦を飛ばしたのだとか。
忘れ去られてしまいそうな、何気ない心温まるやさしい話を、いいよね、なんて思ったかは別として、武蔵はシャイネンナハトに臨むのだった。
鋭く黒い鋼の船体の上には、たくさんのプレゼントが詰まった袋がどっさり。赤色の愛らしいワンピースに身を包み、娘は海上を一気に駆け抜ける。
「戦艦武蔵、今征くぞ!!」
あのお話で活躍した艦のように、困っている人が居るわけではないけれど。聖夜をもっと楽しく幸せなものにするのも、きっと自分の務めに違いない。
真冬の冷たい水飛沫もなんのその、むしろ膚をたまに濡らす雫だって心地が良い。最大船速でもって向かうための灯台は、ありとあらゆる街のひかりと人々の息吹。
名前も知らない顔だって見たことのない、そんな無辜の人々に届けるのは、贈り物と正義と愛。
それが此度、普段は海で戦う姫の役目であるから。
「たまにはこういうのも有りだな」
ふふんとどこか得意げに、そして胸にはわくわくの期待をいっぱいに詰め込んで、戦艦は海を泳ぐ。
※SS担当者:遅咲