イラストSS

　ヨゾラの聖夜は、とても賑やかだ。

　幻想の某所にある館の中は、入り口から裏口まで聖夜の飾りが施されていた。
　金銀、緑に赤のモール。あちこちに飾られた手作りのリース。
　そして、“四人”が聖夜のお祝いをする部屋には――大きなツリーがきらきらと輝いている。光り輝く大きなツリーはまさに、聖夜の象徴。
　そしてテーブルの上には様々な料理。七面鳥に、サラダ。それから……ケーキは猫の形をしている！

　――じゃあみんな、……準備はいいかな？
　――大丈夫だよー！

　ファゴットを筆頭に、ヨゾラの友達たちが手を上げる。
　じゃあ、とヨゾラはシャンパンを天井に向けて。

　――光り輝かんばかりの、この夜に！

　ぽーん、とシャンパンの蓋が飛ぶ。
　景気よく飛んだコルクに合わせて、わー、とヨゾラの友達たちが歓声を上げ。口々に聖夜を祝う言葉を交わしていく。そうして、今年も祝えて良かったね、と言い合う。
　そうだね、と満足げにヨゾラも頷く。
　また来年も、こうやって友達たちと祝えたら良いなあ。と、言いながら、七面鳥を切り分けていく。

　――はい、これはみんなの分

　ヨゾラが切り分けた鳥肉たちをみんなの前に置いていく。
　いただきます、と最初に手を出したのはファゴットだ。……彼はぬいぐるみの筈なのだが、どうして飲み食いが出来るのだろう。
　首を傾げるものは此処にはおらず。ただ微笑む友達たちがいるばかりだ。

　――ほら、グラタンが出来ましたわ。どうぞご賞味下さいまし

　フィールホープが優しく言って、グラタンをテーブルに置く。ほくほくと湯気立つ其れはとても美味しそうで。

　――こちらの七面鳥も美味しそうだ。本当にテーブルが賑やかだな。

　夜空が切り分けた七面鳥を頬張りながら、ライゼンデが微笑む。
　にゃー、と応えるのはフローエだ。ところで君はねこなのかい？　ねこじゃないのかい？　どっちなんだい？　まあいいけど。
　ヨゾラは大切な友達と一緒にはしゃげるのが嬉しくて、ありがとう、とグラタンを持ってきてくれたフィールホープに言って、スプーンを差し込み自分の分を取り分けた。

　――皆もいる？
　――勿論！
　――ああ、頂こう
　――にゃー

　皆がそろって返事をして手を上げる。
　そんな、誰もが仲良しな光景にヨゾラは本当に胸が暖かくなって……今年も友達と一緒に聖夜を祝えた事を心から嬉しく思うのだった。
　また来年も、再来年も、其のまた次も……みんなと一緒に……ううん、増えた友達も一緒になって祝えると良いな。

　※SS担当者：奇古譚