PandoraPartyProject

イラスト詳細

それは、きっと。逆らえない『本能』で──

作者 しもふり
人物 ヨハンナ=ベルンシュタイン
イラスト種別 関係者1人+PCピンナップクリスマス2022(→おまけイラスト)(サイズアップ)
納品日 2022年12月24日

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イラストSS

 夢を見た。懐かしい片割れの夢だ。
 いつものように後ろから抱きついて来たレイチェルの紅い髪がするりと流れる。
 背中に掛かる重さが心地良いと思えてしまうのは、寂しさに囚われているからなのだろう。
 この無辜なる混沌に死んだ筈のレイチェルが居る可能性がある。
 随分前にそれは示唆されていた。
「……っ」
 胸が掻きむしられるような感覚にヨハンナは前のめりになってレイチェルの腕を掴む。
「どうしたの姉さん?」
 ヨハンナが遠ざかっていくのを感じてレイチェルは一層腕の力を強めた。
「離れていかないで、私と姉さんはいつも一緒でしょう?」
 うなじに吐息が掛かる。続いて柔らかな唇がうなじから首筋へと這ってくすぐったさを覚えた。
 次の瞬間走った痛みにヨハンナは眉を顰める。
「痛……」
「ふふ、姉さんの血美味しいわ。真っ赤で甘くて、悲しみを帯びた味」
 口の端に血を付けたレイチェルがヨハンナの頬を後ろから撫でた。
「──姉さんは私のものよ。誰にも渡さないわ」
 くすくすと優しい笑みと共に零れる言葉はヨハンナを縛るもの。
 僅かな恐怖と、同時に愛おしさがこみ上げる。
 どう足掻いた所で、レイチェルとヨハンナは血を分けた片割れなのだ。
 この夢がもう少しだけ続きますようにと願ったのは何方なのだろうか。

※SS担当:もみじ

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