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ヴェルグリーズのしもふりによるシングルピンナップクリスマス2022
ヴェルグリーズのしもふりによるシングルピンナップクリスマス2022
イラストSS
争いのない日。
奇跡の一日。
ヴェグリーズはこの日が来ると憂鬱な気分になる。
『護る為に』
そう言いながら、何人の未来を奪ってきたのだろうか。
(争いが無いのはいいことだ。でもそうしたら、剣は、何処へ行けばいいのだろう)
人の形を得て、大切な人が出来た今『剣』たる己の存在意義がわからなくなる。
こんな思いをするくらいなら、ずっと鉄の塊でいたかった。
平和な街並みで、ふとクリスマスマーケットの灯りが目に留まった。
立ち寄った店はクリスマスを彩る水晶飾りを扱っている様だった。
その中には『魔除けの御守りに』と添えられたナイフを象ったものある。
(同じ刃でも、こんなに在りかたが違うなんて)
いたたまれなくなり、帰ろうかと思った時にヴェルグリーズは袖を引かれた。
視線の先には店主の子だろうか、不器用なけれど一生懸命作ったのであろう木彫りのナイフをヴェグリーズに差し出している。
「元気出してよ、にーちゃん。俺の御守、あげるから」
此処に居ていいのだと言われた気がして、ヴェルグリーズは胸の内が温かくなるのを感じた。
「……ありがとう」
この子の笑顔と、平和な日々を護れるように。
『俺』はまだ、戦える。
※SS担当者:白