PandoraPartyProject

イラスト詳細

背負うことを望むなら

作者
人物 耀 澄恋
耀 英司
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2022(→おまけイラスト)(サイズアップ)
納品日 2022年12月24日

6  

イラストSS

 ――救えなかった

 澄恋は墓の前にプレゼントを備え、堪えきれずに顔を覆う。
 泣く事なんてきっと許されないのに、涙は勝手にほろりと瞳から零れ落ちるのだ。

 ――ごめんなさい
 ――ごめんなさい、ごめんなさい

 何が間違っていたのだろう?
 最初から間違っていたのだろうか?
 何もかも間違っていたあの正餐会で、一体何が正しかったと言えるのか。

 英司はそんな澄恋の背を支えてやる事しか出来ない。
 そんな事はない、と澄恋は頭を振る。
 結局子どもを手に掛けたのは英司だ。“そうさせてしまった”。また、英司に子を殺させてしまった。
 だからこの謝罪は、後ろにそっと寄り添ってくれる彼の為のものでもある。
 澄恋は謝罪する事しか出来ない。
 何もかもに「ごめんなさい」と繰り返す事しか出来ない。
 英司は、其れを「ああ」と受け止めていた。
 己が分かとう。澄恋の罪も。己の罪も、分かとう。なあ、約束を覚えているか。俺達は“一緒に地獄へ落ちる”んだ。

 ――なあ、澄恋。俺達にはまだ、やるべき事があるだろう
 ――ついて来てくれるか

 其れは、澄恋の心を繋ぎ止めるための鎖だ。
 だって、目の前の石は――頷いても、笑っても、謗ってもくれないから。

 ※SS担当者:奇古譚

PAGETOPPAGEBOTTOM