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澄恋の彁によるおまけイラスト
澄恋の彁によるおまけイラスト
イラストSS
――救えなかった
澄恋は墓の前にプレゼントを備え、堪えきれずに顔を覆う。
泣く事なんてきっと許されないのに、涙は勝手にほろりと瞳から零れ落ちるのだ。
――ごめんなさい
――ごめんなさい、ごめんなさい
何が間違っていたのだろう?
最初から間違っていたのだろうか?
何もかも間違っていたあの正餐会で、一体何が正しかったと言えるのか。
英司はそんな澄恋の背を支えてやる事しか出来ない。
そんな事はない、と澄恋は頭を振る。
結局子どもを手に掛けたのは英司だ。“そうさせてしまった”。また、英司に子を殺させてしまった。
だからこの謝罪は、後ろにそっと寄り添ってくれる彼の為のものでもある。
澄恋は謝罪する事しか出来ない。
何もかもに「ごめんなさい」と繰り返す事しか出来ない。
英司は、其れを「ああ」と受け止めていた。
己が分かとう。澄恋の罪も。己の罪も、分かとう。なあ、約束を覚えているか。俺達は“一緒に地獄へ落ちる”んだ。
――なあ、澄恋。俺達にはまだ、やるべき事があるだろう
――ついて来てくれるか
其れは、澄恋の心を繋ぎ止めるための鎖だ。
だって、目の前の石は――頷いても、笑っても、謗ってもくれないから。
※SS担当者:奇古譚