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ブルー・シャイネン・ナハト
ブルー・シャイネン・ナハト
イラストSS
――イーイ夜空だなァ。
ヤツェクはそうやっていつも通り、飄々と言うのだった。
――ああ。とても良い夜だ。聖夜らしく晴れて良かった。
誠実に答えるヴェルグリーズは、首に巻いたマフラーをちょこり、と指先で整えながら。
しかし良かったのか、とヤツェクに言うのである。
―― 一緒に過ごすのが、俺みたいな奴で。
其れは多分、様々な意味を含んでいる。
例えば「もっと仲のいい友人がいたのではないか」だとか。
例えば「酒場で楽しんで過ごしても良かったのではないか」だとか。
彼が“ヤツェクの小さな秘密”を知っているかは兎も角として――
ははは、とヤツェクはそんな言葉を冗談として受け取り、一笑に付したのだった。
――飲みになら今からでも行けるだろ? 今日のこの景色を肴に、美味いのを一杯引っ掛けようや。
くい、とヤツェクは盃を傾けるジェスチャをして、……いつものようにヴェルグリーズを誘う。
其れを断る理由はない。ヴェルグリーズは良い提案だ、と頷いたのだった。
聖夜に一杯。美しい青き景色に一杯、さあ乾杯!
※SS担当者:奇古譚