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シャイネンナハト。祝福されし輝かんばかりのその夜に、人々は特別な思いを込めて思い思いの一時を過ごす。
謂れにあやかり大切な人と過ごす人も、独りで聖夜に思いを馳せる者も、沢山の友人知人とその夜を楽しむ者も千差万別だ。
だが、そんな彼らにも日常的な共通項が存在する。
特別な聖夜ならではの共通項、それは――聖夜ならではの非日常的に酔い食物の需要が非常に増している、と言う事だ。
ちょっと特殊な加工をした菓子やケーキ、チキンにビーフ、ワインにシャンパン、etcetc――
何時から、何故広がったのかは定かではないが、ともかくシャイネンナハトの夜にはいつもとは違うそれらを食し味わい、特別な夜の楽しみとするのが通例になっていた。
故にこそ、それらを扱い商う店においてシャイネンナハトは特別な日。
年に一度、そして最大の戦いの時に他ならないのであった――!
「――この格好でシャイネンナハトにチキンを売れば、売り上げアップって聞いた……! 皆で一緒にやって、売り上げ大アップ、目指そう……!」
「どういう事でして???」
その日、『肉屋のゴラ』に集まったのは三人のイレギュラーズであった。
『肉屋のゴラ』の主であるフラーゴラ・トラモントとその友人、エクスマリア=カリブルヌスとルシア・アイリス・アップルトンだ。
共に外見上の年齢や容姿から通ずる所がある三人はこうして度々集まる程だったのだが……
「なるほど、分かった。仕事のあとはマリアたちもチキンパーティだな」
「何もなるほどではないんでしてよ!? ここにはボケしかいないのでしてーっ?!」
ツッコむ様にそうルシアが喚くのも無理はないのかもしれない。
何せ、二人を出迎えたフラーゴラの恰好が……些か“特別”だったのだから。
このシャイネンナハトを象徴するかの様な赤いケープに星を象った飾りに純白のファーを随所にあしらった物――
そして、それ以外を極小の赤色の布面積のみに抑えた、由緒正しいマイクロビキニサンタ姿だったのだから!
そんなフラーゴラの両手にはもう二着の衣装……赤を基調とした布切れが握られている。
あれを着るのは誰か、と言う事は、今更言及する必要はないだろう。
「いいかいルシア。アレは――シャイネンナハトの制服だ。間違いない。そして、正しい制服を着用している店では印象が向上し、購買意欲を煽れる。間違いない」
「ワタシも、見た事がある……! 確かに、少し布地は少ないけど、こういう恰好をしている人も居たから、大丈夫……!」
「そ、そう言われてみれば……ほ、本当でして!? これが正解で良いのです!?」
「「勿論」」
……結果として、『肉屋のゴラ』は大盛況。客足が途切れる事なく売り上げは大幅アップとなり、その後のチキンパーティも大盛り上がりとなったのであった――!
「マイクロビキニを着てシャイネンナハトにチキンを売ると、本当に売り上げ伸びるんだぁ…!」
――HappyEnd……?
※SS担当者:黒矢