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側に居させて
側に居させて
イラストSS
パチリと暖炉の薪が爆ぜた音が響く。
目の前の彼女が想い人から恋人になった夜。柔らかい唇を幾度となく吸い上げた。
普段の立ち振る舞いは淑やかなジュリエットが、自分の前では唇を求める愛らしい姿になる。
意外と大胆なジュリエットの行動にギルバートは胸を高鳴らせた。
それは、恋人として歓迎すべきものだろう。
実際の所、愛らしいジュリエットの姿に目が眩む。
白銀の髪を攫い、長い睫毛の影が落ちる白い頬に指を這わせた。
身を任せるように瞳を閉じる姿がいじらしく、背に回した手に力が入る。
額へ落した唇を耳元へ這わせれば「ひゃ」と小さな声が上がった。
自分でキスをする度胸はあれど、耳朶を唇で摘ままれるとは思っていなかったようだ。
耳を押さえたジュリエットの顔がみるみると赤く染まっていく。
「あ、あの……その」
ジュリエットの力ではギルバートの腕を振りほどくことはできない。
逃げ場の無い至近距離の顔に、胸が張り裂けそうなぐらい鼓動を鳴らす。
ギルバートとジュリエットは恋人になった。だから耳にキスされるぐらい大丈夫なはずなのに。
どうしても恥ずかしくなってしまうのだ。
「ふふ……悪戯が過ぎたかな?」
両手をぱっと離したギルバートは目を細めジュリエットを愛おしそうに見つめる。
この手の悪戯は心臓がいくらあっても足りないとジュリエットは胸を押さえた。
※担当:もみじ