PandoraPartyProject

イラスト詳細

ギュスターブくんのノキアによるおまけイラスト

作者 ノキア
人物 ギュスターブくん
深道 明煌
燈堂 暁月
燈堂 廻
イラスト種別 おまけイラスト(→元発注イラスト
納品日 2022年12月24日

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イラストSS

 燈堂家のクリスマスパーティは賑やかに楽しく終わりを迎える。
 後に残ったのは静寂と少しばかりの淋しさだろう。
 風呂から上がった暁月は先に縁側へ来ていた明煌の隣に座った。
 寒さを和らげるための火鉢が足下に置かれているからか、ほのかに暖かい。
「廻、寝ちゃった?」
 明煌の膝を枕にすやすやと寝息を立てている廻を見つめる暁月。
 寒くないようにと明煌は自分のコートと羽織を廻に被せていた。
 それがまるで簀巻きのようで暁月はくすりと笑みを零す。
「明煌さんって、過保護なの?」
「え?」
 突拍子もない事を聞かれ、明煌は面食らったように首を傾げた。
「過保護? 何で?」
「だって、廻が寒くないようにいっぱい掛けてるから」
 暁月は明煌の膝に手を置いて、もう片方の手で廻の頭を撫でる。
 ふわりと香る風呂上がりの石鹸の匂いが明煌の鼻腔を擽った。
「……すぐ風邪ひくから」
 暁月の香りから気を逸らそうと明煌は廻に掛けた羽織を掴む。
 ずるずると引き上げて廻の肩に被せた。
「身体弱いからね廻。しかも、結構無茶するし」
「うん、すぐ泣くのにたまに強情だし言うこと聞かないことあるし」
「言うこと聞かない? 廻が?」
 きょとんとする暁月に明煌は「うん」と応える。
「好きなお菓子食べたいのに、「食べ過ぎです」って隠される」
「何だいそれ……ふふ」
 くすくすと笑い出す暁月に明煌はほっと胸を撫で下ろした。
 すぐ傍で見る暁月の笑顔は柔らかくて、もっと見ていたいと思ってしまう。
「廻、早く良くなるといいね」
「……」
 暁月の言葉に明煌は視線を落す。
 これから先、廻が『良くなる』なんてことは有り得ないから。
 暁月を救う。その強い願いの為に、廻を犠牲にする計画に乗ってしまったから。
 けれど、廻の顔を見ていると其れが正しいことだったのか不安になる。
 廻と一緒に居ればいるほど、揺るぎなかった意思が、崩れてしまうようで怖いのだ。
 大きくなる不安を抱えながら、明煌は星降る夜空を見上げた。

※担当:もみじ

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