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新道 風牙の小束すまによる3人ピンナップクリスマス2022
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此岸ノ辺でクリスマスパーティーをしよう。
誘う風牙に「いいじゃないの」と頷いたのはそそぎだった。「準備しておくね」とつづりは嬉しそうに洋装を用意した。
曰く、晴明が用意してくれたのだそうだ。今日は特別だからおめかしをしたいとお強請りした双子の事を聞いてから風牙は嬉しくなる。
それ程までにクリスマスを楽しみにしてくれているというならば他には変えがたい喜びがある。
ケーキを用意しよう。それから、プレゼントも。食事は和食が多めが良いだろうか。チキンくらいなら食べてくれるだろうか。
そうした考え込んでから此岸ノ辺へと訪れる。
「風牙、ツリー出しておいたよ」
「飾り付けしよ」
双子はせっせとクリスマスツリーを飾り付けて行く。
その舌には可愛らしくプレゼントが三つ並んでいた。
「あれ? このプレゼントは?」
「霞帝から貰った」
「そう。今日、風牙が来るならパーティーだろうって」
炬燵の傍にツリーを設置した二人は「パーティーでしょ?」と言わんばかりに期待した瞳を向けてくれる。
「勿論!」
ああ、こうして喜んでくれるなら準備した甲斐があった。
「あ、これ。風牙に」
そそぎがそっと差し出したのは小さな紫色のプレゼントボックスだった。
「え!? そそぎが、俺に!?」
「そう。気に入るか分からないけど。クリスマスプレゼント、風牙が何時も用意してくれるし」
一応準備したとぼそぼそと告げるそそぎに風牙は涙を浮かべてから「ありがとう」と頷いて――ゆっくりとリボンを解いた。
「それじゃ、開くぜ」
「うん」
――ん? そそぎが笑いを堪えて居る。
つづりはどこか緊張している。風牙はプレゼントを気に入って貰えるかを気にしているのだと解釈したが――
風牙がプレゼントボックスを開いた途端、勢い良く『いたずら』が飛び出した。
バネの先にはそそぎを思わせる可愛らしいボールが着いている。びよんと勢い良く飛び出したそれに風牙が「うわあ!」と声を上げた。
「んふっ……くっく……あはははははは! ひっかかった!」
「ほら、そそぎ。風牙、びっくりしてる」
「あははははは! 輝かんばかりのこの夜に!」
涙を浮かべ、腹を抱えて笑い続けるそそぎにつづりは「ふふ」と笑みを漏した。
「ごめんね」
「い、いや……やったなあ、そそぎー!」
そそぎに飛び掛からん勢いで近付いていく風牙に「きゃあ」とそそぎが声を上げる。
ぱちくりと瞬いてからつづりは「待って、私も」と二人の傍へと駆け寄っていった。
*SS担当:夏あかね