イラスト詳細
ロロン・ラプスのYAMIDEITEIによるSS用イラスト
イラストSS
●混沌の泥
もし『それ』が未来を視ようと思うのなら、為せなならぬは必然であった。
『それ』は唯そこにあるだけで災厄たる。『それ』は親和する全てを呑み込むように産まれ落ち、そうであるが故に『それ』であった。
即ち、ロロン・ラプス(p3p007992)とは頂点捕食者である。
案外気安い当人が望むにせよ、望まぬにせよだ。
何かを侵し尽くさねば始まらない。
何かを滅ぼし尽くさずにはいられない――
(これも業か)
精神の檻という暗闇の中に蟠るロロンは物理に囚われぬ世界で独りごちる。
実際の所、ロロンは他者という枠組みの全てが己に飲み込まれる事を望まなかった。『多様性を否定する在り様をしながら、多様性こそを愛していた』。
(故に、ボクはいつかの災厄に成り果てない為にも。
まずは自分を完全に制御しなければならない――)
混沌に召喚され、混沌肯定なる枷をかけられたのはロロンにとっての幸運だったと言える。やがて来る破滅の時を待つ砂時計はそれでご破算になり、ロロンは騒がしくも愛すべき日常を十分に楽しんでいた。
そしてその時間はロロンの『望み』の為にも役に立つ義務猶予(モラトリアム)だ。
(ただ在るだけ。原初の望みを吸い込む願望器から――自動装置から。
誰かの願いを自分の意思で叶える存在へと変革すれば。
この力に、ロロン・ラプスに『指向性』を施せたなら)
鬼才シュペル・M・ウィリーとの出会いはロロンにとってのヒントになった。
ロロンは一人、檻の中で自己を改革する。
まだ見ぬ次なる姿を求め、夢見て。
世界呑み喰らう汚泥より、混沌の泥へ。
(――今の自分にはそっちの方がずっと、ずっと相応しいから)