イラスト詳細
冬葵 D 悠凪の岬による5人ピンナップクリスマス2017(横)
作者 | 岬 |
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人物 | 冬葵 D 悠凪 シュバルツ=リッケンハルト クロバ・フユツキ アクア・サンシャイン 長月・秋葉 |
イラスト種別 | 5人ピンナップクリスマス2017(サイズアップ) |
納品日 | 2018年02月13日 |
イラストSS
【ある旅館の一部屋 A】
僅かに開いた襖の奥から、きゃあきゃあと賑やかな声が漏れている。
中では枕投げの真っ最中。
聖なる夜のお祭り騒ぎに、誰も彼も一喜一憂している。
真っ赤なマフラーを翻し、クロバは陣営の最前線に立つ。
両手には一つずつ枕を持ち、前のめりに踏み込んだ姿勢は今にも「枕投げ(至近単体)」を繰り出さんばかりである。
黒に染まった腕も、今握るのは刃ではなく。内に秘めた淀みも、今この時ばかりは場の陽気に鳴りを潜める。
最前線に立つ青年が攻撃一辺倒なため、守備に関しては隙がある。
一直線に投げられた枕がクロバの横を通ってその後ろへと飛ぶ。
冬葵は素早くガードを固めた。構えた枕に当たって床に落ちる。ふぅっと息を吐く。
「……意外と白熱しますね」
それでもみんなで騒ぐのは楽しくて、冬葵はほんのり笑みを浮かべる。
そうっと枕の陰から顔を出し、逆サイドの様子を伺おうとするが、すぐにまた次の枕が迫ってきていた。
慌てて隠れようとした冬葵だったが、枕が当たる感触はない。
それもそのはず。シュバルツが飛んできた枕を片手で軽くキャッチしていたのだから。
暗殺のプロであった彼にとって、飛んでくる枕を受け止めるも往なすも文字通りの「お遊び」だ。だが……
(ま、こんなのも悪くねぇな)
逆十字のネックレスは、今は首にこそつけていないが、もちろん手放している訳ではない。
隠し持つそれに、そっと指先を触れる。
口の端を緩めながら、シュバルツは受け止めた枕を隣に放った。パスを受け取った女は不敵に笑い、キッと向かい側に視線を移した。
「さ、反撃と行きましょうか」
秋葉は、確保した残弾を片脇に抱え、もう片手は即座に枕を投げれるように構えながら、照準を定める。
畳みかける連続攻撃も良し。味方に渡して連携攻撃も良し。さぁて、どの手で行こうかしら。
攻め方を計る秋葉とは対照的に、アクアは満面の笑みで夢中になって枕を投げる。
浴衣がはだけるのも厭わずに、子どもに戻ったように、ただただ遊びを満喫して。
アクアの隣に、ゆっくりと飛んできた枕がぽすんと着地する。
「さぁ、こちらからも行くわよ!」
大きな声で宣言して、拾い上げたそれを思いっきり投げる。
アクアが放った枕が高く飛ぶ。
誰に当たってもいいし、当たらなくたって構わない。
またいつ次があるとも知れない機会だ。騒がなければもったいない。
性別も年齢も、種族だって関係なく。
聖なる夜に乗っかった大騒ぎは、始まったばかり。