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其れは純然たる白き象徴であり、様々な恩寵を齎すという。
正に神に等しいともいえる、理想を具現化した存在と。誰かが語った。

其れは穢れた黒き象徴であり、人々を蝕む厄災だという。
全てを飲み込み過ぎ去った後、其処には何も遺さないと。そう伝えられている。


辿り行くかもしれない可能性。その姿の一つ。
身に宿せし権能は傲慢。或いは強欲。
他者の幸福を願う、厄災の"器"。在り方に歪は生じれど、其の想いは無垢たるもの。
「等しく白へ還す事」こそが正しき形であると信じ、無へ孵す事を謳い、笑う。


くるしまないで。
こわがらないで。
いたがらないで。
かなしまないで。
きずつけないで。

──大丈夫。
おれが、皆を助けてあげるから。