イラストSS

　――今年はパジャマパーティーと聞いてはいたが……。
　部屋でゼファーが用意したパジャマに着替えた仙狸厄狩 汰磨羈は、パジャマのデザインが示す動物に気づき顔をしかめる。
　着ぐるみ風パジャマのフードの部分には、タヌキの顔がデザインされていた。
　「私は、タヌキではない！」と言いたげな表情の汰磨羈は、顔を真っ赤にしてゼファーを睨みつける。
「ほーら、美味しいケーキよぉ」
　確信犯に違いないゼファーだったが、白々しい態度で汰磨羈の前にホールケーキを用意する。
　ゼファーもフード付きのパジャマに着替えており、汰磨羈とは異なるサメのデザインのパジャマを着ていた。
　どちらも非常に愛らしいデザインだが、タヌキのパジャマを用意された汰磨羈にとっては、辱めを受けたことに変わりはない。
「このパジャマ、かわいいでしょ？　似合ってるわよ、汰磨羈」
　かわいいとは言え、腹立たしい気持ちも拭えない汰磨羈は、そう言ったゼファーのフードをぐいぐいと引っ張って視界を奪った。
「ちょ……やめなさいよー！」
「うるさい！　なぜ私がタヌキなのだ？！」


　※SS担当者：夏雨