イラストSS

「スティア！」
　雪降るヴァークライト邸でのシャイネンナハト。折角の聖夜にスティアはイルと共に楽しく過ごしたいと考えていた。
　普段通りの騎士服でやってくる彼女に「プレゼントがあります！」と自慢げに微笑んだスティアは自身と揃いのワンピースとケープをイルへと用意していた。
「良いのか？　プレゼントで貰ってしまって……私も何か用意すれば良かったかな」
「ううん。凄く心配掛けたと思うし……おそろいのお洋服を着られてとっても嬉しいよ」
　心配という言葉にイルは「本当に」と大仰に頷いた。と、言うのもつい最近までのスティアは『R.O.O』と呼ばれるシステムによって精神的な幽閉状態であった。天義で過ごしているイルはスティアのその状況を聞きどうしたものかと日々落ち着かない様子で過ごしていたのだ。
「エミリア様もさぞ心配なさっていただろう」
「えへへ」
「怒られたか？」
「えへへ」
　叔母とも面識のある彼女にスティアは頬を掻いた。怒らないで居てくれるのは叔母がきっと酷く叱り付けて来たというのを察しているからなのだろう。
「じゃあ、今日は思い切り楽しもう。久しぶりのスティアだからな。何をする？」
「んーそれじゃあ」
　――やっと共に過ごせるのだから。これから『楽しい』で満たしていけば良い。


　　＊SS担当：夏あかね