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聖夜のおでん

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「ただいま。思ったより外寒かったよ」
「おーほっほっほ! わたくし! ジェック様と共に買い出しを無事に果たして参りましたわー!」
 新鮮な食材が詰め込まれたレジ袋を持ちながらジェックとタントが星の社へと帰ってきた。なんせこの女子会には十人も参加者が居るのだ、準備していた食材も足りなくなるというものである。

「おかえり」
 と方々から出迎えの声が聞こえてきて一息ついた様子でジェックは扉を閉め、タントが小さな手で懸命に抱えているレジ袋を指さした。
「タント、ソレ重くない? 持とうか?」
「これくらいへっちゃらですわ! ジェック様はやっぱりとっても、お優しいですのね!」
「コルネリア殿、この大根とても味が滲みてて美味いぞ。そら、あー……おお、おかえり二人とも。
 外は寒かっただろう、早く炬燵に入ると良い。おでんもよく煮えているぞ」
「ちょっと待ちなさい、そこ口じゃなあ゛っづい!!!
 せめてこっち向、あ゛っづッッッ!!」
「何やってんのよ二人とも……」
 コルネリアの口の中に収まる筈だった大根は、箸を持っていたブレンダが余所見したことで熱々の状態でコルネリアの口元へダイレクトアタック。コルネリアがその美貌に似合わぬ濁った悲鳴を上げる。
 そんな二人の熱々おでんコントにリアは呆れた様に苦笑し、溜息を吐いた。

 だがこんな日常だって当たり前じゃない。
 リアはその事をよく分かっていた。

 みんな出身地はバラバラだし『偶々』空中神殿に呼ばれて『偶々』特異運命座標になった。
 命を賭ける様な闘いにも身を投じて、血を吐きながらも、生き残って。簡単に切れてしまいそうな命の糸を依り合わせて。そうして出来た縁が今此処に繋がっている。それがどれだけ尊く、どれだけ奇跡的な確率かなんて普段は誰も意識なんかしないだろう。

「でも、屹度それでいいのよね」
「何か言ったか? リア殿」
「何でもないわ、さ。おでん食べましょ?」
「今度はちゃんと食べ、だから!! あ゛っ」
「はい、ジェック様! あーん、ですわ!」
「あーん……うん、美味しいね。ありがとうタント」
 
 ――今日この日。
 星の社の真上には目が灼かれてしまいそうな程に眩い輝きを放つ十の星があった。

 ただ真っ直ぐに未来(まえ)を見て。
 どれだけ傷つき、苦しい荊の道だったとしても。
 決して歩みを止めることはない。
 強く、美しく、気高い乙女達に星々の祝福が在らんことを。


 ※SS担当者:白

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