イラストSS

　小鳥の囀る声音に紫電はのろのろと体を起こした。シャイネンナハトのパーティーを楽しんで、それから――
　記憶も朧気だと目を擦り傍らの気配に首を捻る。すやすやと眠っているのはサンタクロースの帽子に紫電のシャツを羽織っただけの秋奈。
　ぐっすりと眠るかんばせも愛おしいと見下ろして――ふと、彼女の様子と服装に紫電は息を呑んだ。
　衣服をほぼ身に着けずベッドの上で共に眠る愛おしい恋人。そこから推定されるのは。
　紫電は遂に、と考えてからかんばせに紅を上らせて頭を抱えた。幸福そうな吐息に、何も覚えては居ない自分の不甲斐なさが何とも言葉に出来ぬ儘にぐるりと脳内を巡る。
　彼女を起こして問えば良いか、それとも。ああ、けれど落胆させたならばどうしよう。
　遂に一線を越えたのだと考えるだけで紫電は沸騰しそうな頭に紅潮する頬を鎮める事は出来なかった。緊張に指先が震えた気さえする。
　その振動を感じたのか、もぞもぞと傍らで身を揺らがせたのは眠っていた秋奈。
　固く閉じられていた瞼が震え、睫がつい、と持ち上がる。覗いた紅色の眸は紫電の浅黄色の眸を捉えて。
「ん、紫電ちん――？」
　それから、応えは――


　　＊SS担当：日下部あやめ