イラストSS

　結わえ合わせる糸は解けてしまわぬようにひとつ、ひとつと確かめて。
　シャイネンナハトに贈り物をひとつ。記念の日に既製品では少し寂しく感じるとすずなはフィーネへと共に何か作ろうと提案した。
　三人巻きのロングマフラーはどうだろうと提案するフィーネに頷いて、慣れない様子で棒針を動かすすずなはむうと唇を尖らせる。
　協力して編んだマフラーは完成したけれど、自分たちのためのお揃いのミトンはすずなにとって『はじめてのひとりの作品』だから。
「あ、あれ……？」
　桃色の毛糸が指先に絡まる。真摯な表情をしていたすずなの目尻には困惑が滲んだ。
「フィーネさん、これで合ってます？」
「はい、大丈夫ですよ。ええと、こうすると編みやすいかもしれませんね」
　手慰み程度には経験があると伝えていたフィーネは優しくスズナにレクチャーをする。真剣な顔の彼女が可愛らしく見えて、ゆっくりと指先を動かし、分かり易いようにとその手許を見せた。
「ええと……」
「こうです。上手ですよ」
　すいすい、と動く棒針を視線で追掛けて。完成品が少し不格好でも、良い。こうして共に作ったと言うことが大切なのだから。

　　＊SS担当：日下部あやめ