イラストSS

「ニア、ニア、こっちっすよ！」
　手招くリヴィエールに誘われてニアは大きな雪玉をごろごろと転がし続ける。
「リヴィ、待って」
「待たないっすよ。ふふ、雪だるまの鼻の人参をクロエに食べられちゃうっすよ！　急いで！」
　可愛らしいケープを首に巻いて、目と鼻を飾り付けた大きな雪だるま。サンタ帽子はきちんと準備してきたから。
　リヴィエールとニアは大きな雪だるまを作って、シャイネンナハトの雪遊びを思う存分楽しむと約束していた。
　ホワイトクリスマスとなるその日の雪は美しい。未だ誰も踏んでいない新雪の上を走り回って、雪だるまを転がして。今宵限りの友人を二人で飾り付けてあげるのだ。
「可愛く出来たっすねえ」
「目がちょっと歪んだね」
「そこも可愛いポイントっすよ！　もう一つ作る？」
　もう一つ、とニアはリヴィエールの言葉を反芻してから首を捻った。雪だるまが独りぼっちで寂しくないように『親友』を作って上げたいのだとリヴィエールは微笑んだ。
「目と鼻の材料、何処かから探してこなきゃっすね」
「またクロエの餌箱から盗ってくるつもりで――」
「ち、違うっすよ、ニア！　そんなことしたら怒られちゃうっすから」
　慌てて手を振り回したリヴィエールにニアは「嘘だよ」と揶揄うように笑った。さあ、雪だるま君の親友を作る為にもうひと頑張りだ。


　＊SS担当：夏あかね