イラストSS

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「それじゃ行くよ？　せーの……」
「うん。せー、のっ」
　――幻想の森の傍。降った雪を一か所に搔き集めて作った雪山に、二人の少女が飛び込んだ。
　ノアとフェールニクス。両者が思い切って飛び込んだそれは、彼女らを優しく受け止める……ことは無く、肩ほどの高さまでを沈めてしまって。
「うわっ！？」
「わ、わ……？」
　そうした結果を自分自身で味わった二人は……けれど、互いに顔を見合わせた後、再びの笑顔を浮かべる。
「あはははっ、これじゃベッドみたいに寝ころべないねー！」
「うん、動けなく、なっちゃった」
　小さな雪のベッドで、二人きりのお昼寝を。
　そんなちょっとした願いが叶わなくても、二人はちっとも残念ではなくて。
「もう少し雪を固めれば出来るかな？」
「頑張って、みよう。もう一回雪を……」
　言いかけたノアの言葉を、ばさばさ、と言う音が遮った。
　疑問符を浮かべた二人が頭上を見れば、其処には傍らの木から降り注ぐ大量の雪が。
「「……あ」」
　騒ぎ過ぎた。そう省みるよりも、木の方から降る『お仕置き』の方が早く。

　――数秒後、積み上げた雪山は嵩を増し、其処には逃げ出そうとして転んだ少女二人の足が並んで突き出す姿が在った。


　※SS担当者：田辺正彦