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炎堂 焔の練色ツクネによる3人ピンナップクリスマス2021
イラストSS
『ラサの未来のために……二人の力が必要なの!』
手をぎゅっと握り、目尻に涙すらためて訴えかけたあの顔を思い出す。
この世界にやってきて触れた様々な土地や人々のなかで、一番といっていいほど特別になったひと。そして土地。
エルス・ティーネはそのぬくもりや声を思い出しながら、「これはラサのため」と呟いた。
大きな鏡の前で。
ミニスカどすけべサンタガール服姿をして。
がちゃりとドアが開き、額にADと書いてある男が顔を出す。
「『どきどき☆アイドル♥ラサガールズ』さん出番でーす」
「どういうことよ!!!!!!!!!!」
ダァンと化粧用の台がぶったたかれる。びくりとして引っ込んだADの代わりに、ススッと炎堂 焔が鏡の景色にスライドインしてきた。
「大丈夫だよエルスちゃん! 露出度でいえばむしろ今までで一番低い!」
「そういうこと言ってるんじゃないのよ!」
ンナーと叫んで頭をかきむしりたくなるが、ヘアメイクさんが一時間以上かけて整えたメイクと髪型をかきみだすほどエルスも無遠慮ではなかった。
というか、出資者や協賛者に赤犬の名が連なるラサのシャイネンナハトアイドルライブなるイベントを乱す彼女ではない。
というか、赤犬の名は書いとけば大体ハクがつくからって少しでも大きいイベントにはどこにでも書きがちなのだが……。
「ほらみて、ティエルちゃんもノリノリ」
焔が右手をご覧下さいのポーズをとると、同じ衣装を着たティエルがススッとスライドインして横ピースした。
無表情で。
「なぁご」
「ノリノリ……なの……?」
「勿論! ほらティエルちゃんアイドルスマイル!」
サンニーイチ! と叫んで両手でビッと指し示すと、ティエルがかつてないくらいのパァっとした笑顔を作った。
「なぁご☆」
「ノリノリだわ……!」
よく考えたらティエルは普段からダンサーのような格好をしているせいで、この手のことは慣れているのかもしれない。
「というわけで、エルスちゃん」
ポンと肩を叩く焔に、エルスは一度だけため息をついた。
そして……。
「今夜だけよ! 毎晩やったりはしないんだから!」
もういいっすか? とおそるおそる顔を出したADにOKサインを出すと、エルスたちは走り出す。
そして――ステージに音楽が鳴り響く。
最高潮に盛り上がる観客達が、赤(焔)青(エルス)白(ティエル)のサイリウムを振り回す。
「「輝かんばかりのこの夜に! 『どきどき☆アイドル♥ラサガールズ』です!」」
担当GM:黒筆墨汁