イラストSS

「ふふんふーん、ふふふふーん」
　へらにとったホイップクリームをスポンジケーキに塗りつけ、綺麗に表面を整えていく。
「ふふふふーんさめー」
　ホイップクリームを絞り出す道具を起用に使い、模様でも描くように小さなクリームの飾りを等間隔につけていく。
　その様子を、サクラはあんぐりと口をあけて見つめていた。
　視線は今まさにスティア・エイル・ヴァークライトが作っているケーキの飾り部分……の一段下にある苺とトナカイ人形のケーキ、の更に一段下にある苺とチョコレートハウスクッキーのケーキ。のまた更に一段下にずどんとできあがった大きなホールケーキへと移っていく。
　そして、へらを手に腕を上下に振った。
「スティアちゃん！　今回は『スティアスペシャル』にはしないって言ったでしょ！」
「え？」
　さめさめーと歌っていたスティアがぴたりと手を止め、綺麗なオッドアイをぱちくりとさせた。
　小首をかしげ、サクラを見返す。
　そして最上段のケーキにクッキー飾りをつけて頂点にサンタクロースの帽子をつけた砂糖菓子人形を二つのっけると、にっこりと笑った。
「『ふつうのサイズ』のケーキだよ、サクラちゃん」
　コォー……と背景に宇宙が浮かぶほど意識が遠のきかけて、そしてサクラはハッと意識を取り戻した。
「スティアちゃん、もしかして……『普通のウェディングケーキ』を作るつもりだったの！？」
「『たった』四段だし」
「モォーーーーーー！」
　両腕を上下にふるサクラ。
　ケーキの頂点には、赤い髪と青い髪のサンタクロースが寄り添って立っていた。

　担当GM：黒筆墨汁