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夢見・ヴァレ家の風輔によるおまけイラスト
イラストSS
向き合う。クロスのかかった清潔なテーブルをはさみ、沈黙する。
夢見・ヴァレ家はこれ以上ないというほど真剣な表情でポケットに手を入れると、三枚のコインを取り出しテーブルへと置いた。
表情は扇状に広げたトランプカードの裏へと隠して。
「レイズ」
にらみ付ける相手は、顔に傷のある軍人――ショッケン・ハイドリヒ。彼はカードを全てテーブルに伏せ、同じようにポケットへと手を入れる。
そしてコインをいくつも握りしめて取り出すと、テーブルにじゃらりと置いた。
およそ十枚ほどのコインだ。
金色のそれは、ポーカー一回の勝負に賭けるにはあまりに大きい。
が、ヴァレ家はカードの裏で目を細めた。
(かかりましたね!)
ヴァレ家は己の脳内でこれまで並べられたカードの数字と柄を引っ張り出し、それを計算しはじめた。
カウンティングと呼ばれる確率計算法である。それまでのカードを全て記憶するという実際には不可能に近いスキルだが、実現したならシャッフルより遠ければ遠いほど確実に相手のカードとこれから引かれるであろうカードを予測できるのだ。
(拙者の読みでは相手の手札はブタ。よくてツーペア。大して拙者の手札はスリーカード。つまり……これは拙者を下ろさせるためのブラフ……!)
ヴァレ家は20枚ものコインをテーブルにばらまくと、『勝負です!』と言って笑って見せた。
頷き、勝負に応えるショッケン。
二人は同時にカードをめくりヴァレ家は目を剥いた。
「はあーーーー、フォーカード!? ズルです、ズル! 貴方、さっき手札を見て『参ったな』みたいな表情をしていたじゃありませんか!」
悲鳴があがり、そして敗北を認めざるを得ないヴァレ家。
そしてその翌日、『現実の夢見』のアカウントに金貨20枚の請求が届いた。
担当GM:黒筆墨汁