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ルカ・ガンビーノのくらいによる2人ピンナップクリスマス2021
ルカ・ガンビーノのくらいによる2人ピンナップクリスマス2021
イラストSS
●制限時間
「――へへ、悪いな?」
地上よりも『高い』空中神殿の空気は冷える。
いつも決まって雪のちらつく聖夜ならば尚更で、冗談めかしてそう笑ったルカ・ガンビーノの吐き出す息は白かった。
「別にこれくれーなら構わねーですけど」
「そうかい? 寒くないかと思ってな」
「お互い様じゃねーのです?」
『強請って勝ち得た』膝枕から無表情で硬質な美貌を見上げ、ルカは「砂漠の男は慣れてんのよ」と嘯いた。
「砂漠は……砂?」
「そう、砂の王国。アンタにも見せてぇよ。俺の故郷」
「……暑い、と聞いた気がするですが」
「昼間は暑いな。だが、夜は恐ろしく冷える。
二面性があるのさ。『他人の事は言えねぇけど』」
不思議そうに小首を傾げたざんげにルカはもう一度笑った。
(ああ、まったく――こんな風になるなんてよ)
まるきりの子供ではないのだ。
関係に、感情に無理に名前をつけなくたって――とうの昔に理解している。要するにざんげは『ルカのファム・ファタル』で、自分は彼女に相応しくある為に今日もあの塔に挑戦したという訳だ。こうしてほんの少しの御褒美を受け取る事が出来たとて……
「先は長いよな。『そんなに時間は残ってないかも知れないのに』」
「……?」
ルカは若い。精力的だ。
『しかし、彼は自分に残された時間が長いとは思っていない』。
永遠の少女が何十年も、何百年も。
例えばあのレオンが幼かった時と同じく、今も何一つ変わっていないのだとしたら。『ルカの時間』は余りに短い。
「……見てろよ、ざんげ」
「はい? ……はい」
「俺は、必ず――」
幾多の星の下、聖夜の時間が少しだけ滲んでいた。