イラスト詳細
オウェード=ランドマスターのみやのによるおまけイラスト
作者 | みやの |
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人物 | オウェード=ランドマスター マリア・レイシス メープル・ツリー |
イラスト種別 | おまけイラスト(→元発注イラスト) |
登録されているアルバム | |
納品日 | 2021年12月24日 |
イラストSS
年に幾度とある祝祭の中でも、シャイネンナハトは特に想い出に強く焼き付けられる一日である。だからこそ悩むのだ、輝く夜に、想い人へ送るその贈り物には。
「ううむ、年頃の女性の好みというものは……」
可愛らしい人形やアクセサリ、甘いお菓子、女の子に人気なプレゼントが一杯あるという繁華街のその店の前で、オウェードは腕を組みながら首を横にふる。決められぬ、わからないというわけではないが、どれも自身には魅力あるものに見えてしまう。
「もう少し覚えておくべきだったかのう、よもやこの歳になって本格的な恋をするとは」
「10倍生きてたってどうなるかわからないさ、恋ってそういうもん!」
知識不足に悩むオウェードを励ましながら、メープルはわざとらしく高笑いをあげていた。
「ふふ、こういうときは自分を信じて直感を選べばいいんだ」
なおも手を顎に当て悩むオウェードの様子が微笑ましいからか、マリアは小さく笑い声を漏らす。
「自分の信じて選んだものならその人は必ず喜んで貰える……ふふ、だから恋っていいものなのさ!」
「直感、か」
マリアの言葉に揺れていたオウェードの瞳が止まる、どうやらようやく決心がついたようだ。
「流石マリアさん、歴戦の覇者って感じ! ホント、そこまで好きな相手が気になるよね!」
「おっと、それはお互い聞かない約束だろう?」
大きく腕を動かして感嘆と称賛を表すメープルに、自慢気にマリアは人差し指を唇の上に置く。
「それよりメープル君はどうなんだい? 店の中に入ってすぐに欲しいのはえらべるのかな?」
「えっ、そ、それは」
マリアの思わぬ流れ弾に凍りつくメープル。
「サ――賽は投げられたってね! もーちろん秒殺さ! 当然だろーっ!?」
顔を赤くしてその言葉を否定するが、勿論大嘘である。その様子にマリアはいよいよ面白さを隠せず笑い、二人へと声をかけるのであった。
「じゃあ人目に付く前に行こうじゃないか、二人を待たせるわけにはいかないからね!」
「マリアさんも決めてないんかいっ!?」
間髪入れず飛んできたメープルの言葉にマリアは店の扉を開けながらこう答えるのだった。
君もいっただろう? 恋ってそういうものなのさ、と。
姿も境遇も違う3人なれど、聖夜に抱く思いは一つ。大切な人の、笑顔が欲しい、あの人の隣で一緒に過ごしたい。
「……喜んでくれると、いいのう」
オウェードの声、そしてカランと閉まるドアの鈴の音。長い長い、聖夜を待つ者たちの買い物は、まだ始まったばかりだ。
※SS担当者:塩魔法使い