イラストSS

　ゆらりと、灯りが揺れる。規則正しい寝息を立てるウルズ・ウィムフォクシー（p3p009291）を照らす光も合わせて揺れるが、目を覚ます様子はない。
　待ち人来ずに冷え切った体を暖めるため、酒を呷ったのだろう。彼女が帰ったのは辛うじて曙を見るよりも前。あと1刻もしないうちに窓越しの光が部屋を照らす。
　疲れと酔いで寝てしまったのか。夜更けに帰宅した事を考えればさもありなんというべきか。しかし飲みかけのグラスは案外しっかりと握られていて、取ろうとすれば起こしてしまうかもしれない。
　全く、と誰かのため息交じりな声が聞こえたような気がした。夢かな。きっと夢だ。
　そうっとかけられた何かは随分雑なかけかたで、暖かくなった箇所もあればそうでない箇所もある。
　再びゆらりと灯りが揺れる。やはりウルズが目を覚ます様子はない。

　けれど、目を覚ませば必ず気づくだろう。いつの間にやら掛けられていたマフラーが自身のものではないこと。良く知った人のものであること。

　――そっとマフラーをかけてくれたのは、きっと。


　※SS担当者：愁