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ヴェルグリーズの彁によるおまけイラスト
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はらはらと雨が降っている。
「うん、大丈夫だよ。お休み」
ささやくような、ヴェルグリーズの声……。
ひと時も眠りを知らぬような、さりとて、冷たくはない声だった。目を開ければそこには、美しい青年の姿があった。
人間らしい、と思ってしまうのは――人間そのものの、美しい造形の青年に抱く感情としては倒錯したものだろう。けれども、その声はどこまでも完璧な、しつらえたかのような透き通ったような響きを伴っている。
「……不安なことがあったんだね。苦しいことも。まだ夜は怖いかい? 俺はここにいるよ。うん。そうだね。キミが眠りにつくまで。起きてからも変わらず、ここにいるよ。約束する……だから、お休み。明日また、キミにおはようを言おうか。一番に」
少なくともひと時の間、ヴェルグリーズがここを離れることはないだろう。それは、ゆるぎない確信だった。傍にあるかぎり、絶対的な安心があった。
護られている。
少なくとも彼がいる限り、ここには何人たりとも立ち入るまい。
はらはらと雨が降っている。……はずだった。顔をあげれば外はやはり雷雨なのだけれども、音は一つ足りとて届かない。どうしてなのか、考える間もなく、ヴェルグリーズの優しい声にいざなわれて眠りの底へ落ちていくのだ。
※SS担当者:布川