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シフォリィ・シリア・アルテロンドの彁によるおまけイラスト
シフォリィ・シリア・アルテロンドの彁によるおまけイラスト
イラストSS
(早く着きすぎてしまいましたか)
今日のこの日を、じぶんが楽しみにしているというのは間違いがない。少しでも早くその人に会いたいと思ってはいたけれども、時間をみると、ずいぶんと早いのだ。
シフォリィは息を吐き、手を温めた。外は寒く、冷えた外気に晒されて、シフォリィの白い頬は赤く染まっている。「あたたかい格好をするように」、とは言われていたけれど、突然の雪は計画の外だ。ちらちらと降ってきた雪に、困りましたね、とシフォリィが思ったときだった。
すっと、影が差す。
「とらぁ……」
「え? いいのですか?」
見上げると、傘を差しだすとらぁの姿があった。「入って」ということらしい。シフォリィがとらぁの元に寄って、傘に収まると、とらぁは大きな体を揺らし誇らしげに頷いた。
「寒くはありませんか?」
とらぁはとんとんと自分の胸をたたいて、ぐっと背をそらす。自分はとらぁであるから、気にしなくてもいいと言っているらしい。たぶん、そうだと思う。紳士的だ。
「ありがとうございます」
とらぁの懐は、あたたかい。
シフォリィが見上げると、とらぁはきりっとした表情を浮かべていた。
本物の彼女の騎士が現れるまで、自身が代理だと言わんばかりだ。
この素敵な出会いととらぁの親切を、彼になんと伝えようか。
シフォリィは想像して微笑んでいる。
※SS担当者:布川