イラストSS

　混沌の各所が祝祭のムードに染まる、『シャイネンナハト』の時期。
　平和への祈りを捧げる夜に瞬く流星、純白の雪景色に変わる街並み――シャイネンナハトお馴染みの光景と高揚感。世界で最も平和な時期に、キルシェ＝キルシュ、ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン、ティスル ティル、イズマ・トーティスの４人は、ささやかなお祝いのパーティーを開こうと集まった。
「かんぱーーい！」
　４人はジュースの入ったグラスを掲げ、寄せ合ったグラスを軽くぶつけ合う。
　「ぷはーっ！」と至福の一杯を飲み干したティスルは、話を切り出す。
「今年もなんだか、いろいろあったね――」
　ティスルの一言で、皆はTower of Shupellでの出来事を思い返す。４人は一丸となって混沌の『聖域』と称されるTower of Shupellの攻略に臨み、その踏破を成し遂げた。塔主であるシュペル・M・ウィリーとの謁見に臨んだことを、４人はしみじみと振り返る。
「R.O.Oや練達での騒動もあって、一時はどうなるかと思ったが……こうして皆と集まれるのは嬉しいな」
　終始微笑を浮かべるイズマの一言に、ヨゾラは頷き返しながら共感を示す。
「そうだね、今日はいっぱいお祝いしよー！　みんな、お疲れ様！」
　ヨゾラはそう言って、１番近いイズマと自身のグラス同士を打ち鳴らす。カチーンとなんとも響きのいい音が鳴り、４人は自然と笑い合った。
「なんだかものすごいシュペルお兄さんとも、少しは仲良くなれたし……シュペルお兄さんは、シャイネンナハトのお祝いしないのかしら？」
　素朴な疑問をつぶやいたキルシェに対し、他の３人は一様に首をひねった。
　「想像がつかないわね」とつぶやくティスルは続ける。
「――ケーキではしゃぐようなタイプには見えなかったよね」
　キルシェは真っ先に『ケーキ』という単語に反応し、
「そうなの！　お祝いといえばケーキなのよね！」
　キルシェが一層目を輝かせた直後に、イズマはテーブルの上に用意したケーキの箱を持ち出した。
「もちろん、用意したぞ」
　イズマの一言を聞いたキルシェは、待ち切れない様子でそっと開けられる箱の中を覗き込む。
　たっぷりのベリーソースと果実で飾れらた、色鮮やかな赤いケーキが箱の中から顔を出すと、各々が歓声をあげた。
　４人で過ごすシャイネンナハトは、それぞれの心に刻まれた思い出の１つとなった。


　※SS担当者：夏雨