イラスト詳細
フラーゴラ・トラモントのみやのによる4人ピンナップクリスマス2021
作者 | みやの |
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人物 | フラーゴラ・トラモント アト・サイン ノア=サス=ネクリム エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ |
イラスト種別 | 4人ピンナップクリスマス2021(→おまけイラスト)(サイズアップ) |
納品日 | 2021年12月24日 |
イラストSS
文化保存ギルド――自分の知っている人、文化、歴史を記す場所。噂だって何だって良い、遍く世界の事柄を保存するために出来た場所だ。
――輝かんばかりのこの夜に!
属するメンバーが書庫と呼ぶこの場所で、今年もまた大々的なシャイネンナハト・パーティが開催された。参加者も年々じわじわと増えてきて、故に、最初の乾杯を終えてしまえば、それぞれのグループで和気あいあいと楽しむような流れである。時折にょっきりと別のテーブルへ顔を出すこともあるが、まあそれはそれ。
「アトさん、待っててね……! 皆の分も、分けるからね……」
「んう?」
フラーゴラ・トラモント(p3p008825)がターキーと睨めっこし、どのように切り分ければ平等になるだろうかと考えている傍らでアト・サイン(p3p001394)が目を瞬かせる。返事をしようとしたが、口の中がいっぱいでそれどころじゃない。
それまで無心で食べていたホットサンドを口の中へ全て納め、咀嚼して。白のスパークリングワインで流すように飲み干すと、フラーゴラの頑張りを見守る。美味しそうなターキーをどう切ってくれるのだろう?
一方のフラーゴラはと言えば、ものすごく頭を悩ませていた。面倒なのは骨の部分である。シンプルに切り分けるには骨がどうにも邪魔をしてくるが、ぼそぼそに切ってしまったら美味しそうではない。
(アトさんが食べるんだから、美味しく食べて欲しい……!)
実際、アトはそんな見た目など気にしないだろうが――強いて言うなら、食べやすいと喜ばれるだろう――フラーゴラにとっては物凄く重大なことであった。
「フラーゴラさん、無理はしないでね? 多少偏っていたって気にしないわ」
「うん、ありがとう……できるかぎり、だね……!」
お酒でほんのりと頬を染めたノア=サス=ネクリム(p3p009625)はかくりと小首を傾げる。初めの乾杯では随分と緊張していたようだが、ほろ酔いになった今はすっかり自然体だ。
「ん~っ、こっちの肉も美味いな!」
エレンシア=ウォルハリア=レスティーユ(p3p004881)は手にした骨付き肉を噛み締める。柔らかな肉、口の中で広がるジューシーな肉汁。パリパリの皮がたまらない!
「あら、それなら私も頂こうかしら」
「その間にこっちは切っておくね……!」
フラーゴラへ任せたぜ、と頷き骨付き肉の皿を渡すエレンシア。ノアはグラスを置いてありがとうと皿を受け取った。
「このローストチキン、良い焼き具合でごぜーましょう?」
「ああ。こういう料理ができるのはすごいな」
素直に感嘆の言葉を漏らすレイリー=シュタイン(p3p007270)。こういった大きな肉を焼くのは普通の料理とまた違うだろう。万人ができるというものでもない。
「よろしければひと口どうでしょうかね」
「折角だ、頂こう。……時に、大分飲み進んでいるようだが」
レイリーの視線が向いた先には、エマ・ウィートラント(p3p005065)の持ったグラスがある。すっかり飲み干されている、というかその前にも彼女は何杯かグラスを空にしていたはずだ。
しかし当のエマはけろりとした様子で、酔っている顔色でもない。
「わっちは中々酔わない体質でありんすよ」
だからまだまだ飲めるのだと朗らかに笑って。そうするとルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)があらと首を傾げる。
「それじゃあルシアのお茶はご不要でして?」
「おんや、淹れていただけるのでありんしたら、是非に」
ふんわりとエマが笑えば、ルシアもわかったわ! と笑ってどこからかお茶を用意する。温かな紅茶はこのパーティにいる人数分。どうぞと差し出せばアリス・アド・アイトエム(p3p009742)が嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう……とても、いい匂い……」
「これは身体が温まるな」
レイリーもルシアから受け取ってひと口含む。アルコールで体温を上げるのとは異なる、優しい温かさだ。
「そちらのテーブルの方も、よろしければ如何です?」
ルシアが茶器と共に持って行けば、フラーゴラが切ってくれた肉をひたすら食べていたアトがん、と手を差し出す。欲しいということらしい。ルシアが次いで差し出すと、彼は熱さも気にせず大きく茶器を傾けた。
「ワタシも、いいかな・・・・・?」
「私はこれで大丈夫~」
「いや、一旦酒から手を離した方がいいだろ」
フラーゴラがおずおずとルシアへ申し出れば、ノアがくるくるとグラスの中の酒を回し。呆れたようにエレンシアがノアを見上げる。大丈夫とは思えない、と言いたげに。
そんな彼女にアリスは心配そうな視線を向けて、しかし傍らのエレンシアがしっかりしているのを見ると大丈夫だろうと安堵する。悲惨なことにはならないだろう。
「あちらのテーブルは……」
「……まあ、いいんじゃないか。楽しそうにしているし」
ルシアが視線を巡らせれば、レイリーが呆れ半分に苦笑を浮かべる。その先ではヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)がグラス、じゃなくて酒瓶を持っていた。
「まだまだ飲めますわよ~! イーリン、あなたも全然飲んでいないでしょう!」
「あら、私にはこれがあるもの」
手に掲げる酒瓶にはジャキージョーンズと同じプリント。小さくない瓶でありながらすでに半分ほど減っており、イーリン・ジョーンズ(p3p000854)の顔も十分に赤い。
……が、このテーブルに酒を止める奴もいやしない。
「私もいっぱい飲んでるっスよ~」
そう告げる佐藤 美咲(p3p009818)は他のテーブルにあるのと同じようなグラスだが――というかグラスを持っていないヴァレーリヤとイーリンの方がおかしいと言うべきなのだが――美咲もまた、2人に負けず劣らず顔を赤くしている。一体そのグラスで何杯飲んだのか。
「そうだわ、イーリン! 貴女、写真を撮るって言っていましたわね?」
そう、今回はこうして3つのテーブルに分かれる為、皆の顔を眺めながらという訳にもいかない。故に、後から見直せるようにという考えであった。
「そうだったわ」
「忘れてたんスか」
「ほら今が撮り時ですわよ! あちらはもう撮られているみたいですもの!」
さあさあさあ!! と酔いの勢いも余ってヴァレーリヤが両腕を広げる。飛び込んでこいって感じに。そこへ躊躇なく飛び込んでいくイーリン。頬がむにんって当たるけど女の子同士だから問題ナシ!
「美咲、貴女もいらっしゃい!」
「そうよぉ、3人で仲良くくっ付いて撮らなきゃ!」
イーリンはそういうと酒瓶を煽り、ぷはぁ~と美味しそうな声を上げる。淑女は一体何処へ。
「ちょっとイーリン! 私が今飲めないのにずるいですわ!」
「端っこの特権よぉ」
「ふふ、そうっスね」
引き寄せられた美咲もグラスを手にしている。両手に酒、じゃなくて花になったヴァレーリヤは「早く撮りますわよ!」と口を尖らせた。
「ええ、浴びる程飲みましょ!」
「折角のシャイネンナハトっスからね」
なんて言っている彼女らの言葉は存外大きく。隣のテーブルでレイリーがルシアに「ああはならないようにな」と言っていることなど知りえもしない事。
この輝かんばかりの夜は、今年も楽しい雰囲気に包まれて過ぎて行ったことは、確かなのだ。
※SS担当者:愁