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クリスマス2021「happy Christmas」
イラストSS
●From morning suns and evening dews, At first thy little being came.
まぁるいギフトボックスは夢をいっぱい詰めて、まんまる雪だるまの妖精な貴女へ。
おっきなギフトボックスには赤いリボンがお似合いな、少し大人に成った兎さんへ。
卓上には此れでもかと云う位ご馳走や甘いものが勢揃い。ケーキスタンドには軽食、スコーン、小降りのデザート。
テーブル中央を陣取る大きな苺のケーキに載っているバースデープレートに描かれた自分の名前は少しこそばゆくて、其の温もりが嬉しいの。
部屋の中だってしっかりお祝いモード。ひらひら揺れるガーランドに色紙で作った輪っか、此れでもかって位お粧ししたツリーは煌びやかで、自信満々に頭に星を戴いていた。
「あら! 先に摘んでて良いって云ったのに。待っててくれたの、御免なさいねぇ。
乾杯の準備出来たわよー!」
「なぁ、此れもう引っ張っても良いやろか。其れじゃあ皆様グラスをお手に……
僭越ながら音頭を取らせて頂きますえ。ネーヴェさん、コユキアさん、ハッピーバースデーや! 乾杯!」
「ハッピーバースデー!! かんぱーい!!」
ぱあん、と弾けたクラッカー、音の主の蜻蛉とネーヴェの耳がびくん、と毛羽立って、コユキアとジルーシャが貌を見合わせて笑えば、『仕方ないやないの』『じょ、条件反射みたいなもので……』と反論が上がるから。其れで亦、皆で可笑しくなって笑顔と笑い聲がころころ場を満たす。
「グレイ様、此方は?」
「ネーヴェちゃんは初めてのお酒って事でね、蜂蜜酒の曹達割りよ。さっぱり甘酸っぱくて美味しいの」
「此方の檸檬を入れるのもええんよ」
「蜂蜜と檸檬の無敵の組み合わせです! ネーヴェさん、飲み過ぎには注意ですよ」
おっかなびっくり、シャンパングラスに口を付ければいっぱいに広がるクローバー蜂蜜の甘さと漬け込んだハーブやスパイスの芳醇な香りにほっぺたが落ちる様。甘口の其れはごくごく呑めてしまいそうで。
「美味しい……!」
「美味しいですね、しゅわしゅわが良いお仕事、してます!」
「其れは良かったわ、さーて、ケーキに蝋燭を立てましょ。取り敢えずふたりで二十本、イケるかしら?」
「ふふ、応援しとるで」
照明を落とした部屋の中、細い蝋燭に燈る火に今日の主役のふたりは頷き合い、息を吸って――
「「……――いっせーのせっ!!」」
※SS担当者:しらね葵