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届いていますか。
届いていますか。
イラストSS
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準備はいいかな、と。微かに重なった手から渡された水色の小包。己よりも骨張った手より与えられた、あまりにも小さな其れ。シャイネンナハトの印に、互いに用意したプレゼント。
大切なキミへなんて言われたことは無かったのに。其れなのに、貴方は当然のように其の言葉をくれてしまうから――ずるい。
「……っ贈り物を、ありがとうございます」
上擦った、声。みるみる熱を持った頬を押さえ、箱に目を落とす。唯、私の為だけに選ばれた此れ。
真白い世界(きおく)に色彩を与えてくれた貴方が、私を大切だと言ってくれること。其れが、何れ程幸せか。
貴方が教えてくれた感情(こころ)は叫ぶ――嬉しいと。幸せだと。
震える手で恐る恐る銀のリボンを紐解けば、煌めく海晶石で出来た蔦の胸飾りが顔を出した。
貴方が、態々、私の為に。其の事実が象られた。何故なら、其の証拠(こたえ)は、目下に輝きを放っているのだから。じんと熱くなる瞼の訴えは無視して――只、笑った。
「どう、でしょう。似合っていますか?」
吃度私は、貴方よりも先に逝ってしまうだろう。其れでも、そうだとしても。貴方にとって此の時間が忘れがたいものであればいいと、涙ながらに願った。
※SS担当者:染