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凍死したことにすれば、誰も罪には問われませんわ!!
凍死したことにすれば、誰も罪には問われませんわ!!
イラストSS
●秘め事は雪の中に
「やったーーー、完成致しましたわーーー!」
「ふふん!私達にかかればこんなものさ!」
寒空の下に、ふたり分の明るい声が響いた。
寝ている間に降り積もった雪は多く、いつもなら屋根と玄関口の雪かきを済ませたら室内へと戻ってしまうのだが――今日はシャイネンナハト。特別な日。浮足立つ心故か、どちらともなく雪だるま作りを始め、そして今まさに朝日の中に煌めく雪トラコフスカヤだるまが完成した。
「あとでトラコフスカヤちゃんにも見せてあげないといけませんわね」
「トラコフスカヤちゃんもきっと喜んでくれるよ!」
笑顔を浮かべながら残るひとつの手となる木枝を突き刺せば、ひらりと白が空から舞い降りて。
「あら、また雪が降ってきましたわ」
「中に入ろうか、ヴァリューシャ。風邪を引くといけないからね」
ヴァレーリヤの肩を抱いたマリアはさあ行こうと軽い足取りで玄関へと向かった。
扉を閉める直前、マリアはチラリと視線を雪だるまへと向けるが、
「どうしましたの、マリア」
愛しい君の呼ぶ声に、何でも無いよと笑って扉を閉ざした。
今日の雪はまだまだ降り続けることだろう。
――こんな日は、何かを隠してしまうにはちょうど良いのかも知れない。
そう、例えば――年に一度しかない恋人の誕生日をふたりっきりで過ごそうとしていたのに訪ねてきた『誰か』とか。
※SS担当者:壱花