イラストSS

「あにわろてるんでふか、さよふぁんもぜふぁーふぁんもわたひの事をいつもいつも！」
　時刻はまだ日が沈んでからさほど経ってはいなかったがすずなは完璧にでき上がっていた。
　今日も闘技場終わりの反省会。という名目でチームの4人が集まってクリスマスパーティ。忘年会も兼ねてのそれに羽目を外し過ぎたすずなのペースではこうなるのもわかり切っていた。
「ふふ、いつも悪いわねぇ」
　などと口では言いながらゼファーの両手は机に突っ伏したすずなの耳をむにむにしていた。唯一お酒の飲めない年齢ではあるがこんなにいい玩具が隣にいれば機嫌もよくなるというもの。
　対面に座る小夜の閉じた目に、今のすずなが映ることはないが声だけ聞けばその表情など簡単に想像できる。ここまで酔っぱらうのは珍しいが楽しそうなので問題はない。今のすずなの顔を想像するだけでお酒が進む。
「あらあらまぁまぁ♪みんな可愛いですね♪」
　そんな3人を眺めながら斬華の顔もまたとびきりの笑顔。楽しそうなメンバーに囲まれていればこちらも楽しくなってくる。

「ざんかさん！ おしゃけおかわり！！」
「わかりました♪」
　ここに来てもすずなの酒が減るスピードは依然変わらず。むしろ徐々に加速していた。既に手遅れな雰囲気ではあるがそんなことは気にしていない。
　そんな酔っぱらいの注文で新たな酒を追加しようとする斬華の袖を小夜が軽く何度か引っ張った。
「こっちを、ね？」
「あ、はい♪」
　小夜が斬華に渡したグラスの中身は酒ではなくただの水。流石にこれ以上の飲酒はストップがかかった。
「このおしゃけおみずみたいにごくごく飲めましゅ！」
「いい飲みっぷりじゃないの～。もう一杯いっとく？」
　渡されたグラスを一気飲み。お水みたいと言っているが正真正銘水である。酒を水の区別がつかない様子を面白がったゼファーの手からお代わりのグラスが追加される。
「らいねんもやりまひゅよ～！」

　今年も色々あった一年ではあるがこうして4人はここにいる。来年もまた闘技場に変わらぬ姿で立ち続けられますように。
　そんな願いも込められた4人の輝かしき夜が過ぎていく。

「おかわり！」


　※SS担当者：灰色幽霊