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デイジー・ベルのノキアによるおまけイラスト
デイジー・ベルのノキアによるおまけイラスト
イラストSS
薄暗い箱の中、デイジー・ベルは瞳を僅かに開けた。
ガタゴトと揺れる箱。
外気温は氷点下になっているのだろう。
指先から伝わってくる冷気が体温をじわじわと奪っていた。
「……」
この不可解な状況を理解しようと思考と記憶を反芻する。
何故か気を失っている間に服を剥ぎ取られ、綺麗に飾り付けられたらしい。
それだけならまだ良いが、問題は手と足を拘束する枷と猿轡。
そして、箱の中に詰め込まれて何処かに運ばれているということだ。
何が一体どうなっているのか、デイジーはぐるぐると思考を巡らせる。
無防備過ぎるこの状況で、街中に放り出されでもしたら。
否、新手の人身売買の類いかもしれない。
猿轡の息苦しさに頬が上気し涙が浮かんだ。
何処へ連れて行かれてしまうのだろうかと不安が募る。
箱が部屋に運び込まれ、リボンが解ける音がした。
この無防備な格好を誰かに見られてしまうと、心臓が痛んだ。
温かい光の中で見上げれば。
見慣れた『親友』の顔があった。
吃驚してひっくり返った親友は、自分の着ていた上着を被せて箱の中から出してくれた。
冷たくなった身体に上着越しの体温が暖かくて、ふわふわと意識が遠のいたのだ。
*SS担当:もみじ