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理弦の初めてのクリスマス
理弦の初めてのクリスマス
イラストSS
●君へ
雪の降りしきる森林フィールド。
真っ白な絨毯を踏みしめたその先に、瓜二つの獣人が2人。彼らを見分けるためのポイントはただ一つ、その目の色。
「……なぁ」
緑と赤色のオッドアイの見た目、梨尾が、もう一人のエメラルド色の相貌を持つ002番……否、理弦に語り掛ける。
どちらの名前も彼のもの。
002番はマザーに、理弦は梨尾にもらった名前。
梨尾からクリスマスプレゼントにもらった金色の懐中時計見つめながら、うん、と応える。
「こんな感じで、歩ければいいのになぁ」
「……」
「そうだ、前に行ったこと、覚えてるか?」
「……え?」
「お願いだから……自分のことは、大切にしてくれ」
ポツリ、ポツリ、一言ずつ言葉を紡いでいく。
それはぎこちなく、そして悲しいくらいに不器用で。
それでも、ふとした時に顔を合わせると、彼らは笑いあっている。
(もっとここ以外の世界を、教えてやりたいんだがな)
いずれ来る運命は、梨尾は勿論、理弦も知らない。マザーですら、知っているかは分からない。
彼らは血のつながりはなくとも「親子」だ。
ーーそう教えるかのように、雪原には二つの足跡がくっきりと残っていた。
※SS担当者:水野弥生