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ヴェルグリーズの長月緋子によるおまけイラスト
ヴェルグリーズの長月緋子によるおまけイラスト
イラストSS
久しぶりに天香の屋敷へと足を踏み入れたヴェルグリーズは遮那の執務室へやってくる。
小さなノックを数度してみたけれど返事は無い。
そっと戸を開けて中を覗き込めば、積まれた書類の間に突っ伏す遮那の姿が見えた。
「おや。お疲れのようだね」
ヴェルグリーズは小さく呟いて中に入り込む。
遮那の後ろにある障子が開かれて、ガラスの向こうから月明かりが差し込んでいた。
積もった雪に月光が反射して、意外と外は明るかった。
ヴェルグリーズは遮那を起こさないようにそっと傍にあった羽織を被せる。
恐らく誰かが置いていったものなのだろう。
こうしてよく居眠りをしているのかもしれない。
遮那とはそれ程親しくあるわけではない。
されど、少年と兄の決別の時に立ち会った縁がある。
別れの剣として、ヴェルグリーズは遮那を見守らなければならないのだと思っていたのだ。
ヴェルグリーズも遮那も忙しくある身だから、足繁く通うことは難しいかもしれないけれど。
それでも、弟分のように気に掛けている事に変わりは無い。
身じろぎした遮那が起きてしまわぬよう。
ヴェルグリーズは目を細め、静かに部屋を後にした。
*SS担当:もみじ