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デイジー・ベルの珀織ヒスイによる2人ピンナップクリスマス2021
デイジー・ベルの珀織ヒスイによる2人ピンナップクリスマス2021
イラストSS
赤いマフラーがふわりと視界の端に揺れる。
デイジーが掛けてくれた温かな温もり。
視点が結べない程近い距離は、少し顎を出せば唇に触れてしまいそうだ。
きっと、こいつは何とも思っていないのだろう。
ただ、俺が寒そうにしてたから、自分がしていたマフラーを貸してくれただけだ。
猫が家族の為に居場所を温めるのと同じ。
小さな気遣いのつもりなのだろう。
お前は何も知らない無知な子供と一緒だから。
俺はお前が『知る』まで何も教えるつもりは無い。
でも一つだけ言っておきたい事がある。
「なあ、お前さ。こういうの他の男にすんなよ」
「何ですか? マフラーを貸す事ですか?」
ゆっくりと巻かれるマフラーがもどかしい。
デイジーの後ろ髪に指を入れて、温かさを確かめる。
「こうやって頭掴まれたら嫌だろ?」
「はぁ」
「俺に対しても嫌がれよ」
「別に……龍成は頭をよく掴んだり撫でたりしますし」
もどかしい。拒絶してくれれば、他のヤツにもしないと安心出来るのに。
何でも受入れてしまいそうなコイツに苛立ちを覚える。
いや、それはこいつの自由だって知ってるのに。
無性に腹立たしいのだ。
こいつに怒ってるんじゃない。
そんな『自分』が心底、ムカついたのだ。
*SS担当:もみじ