イラストSS

「こん、ばんは！！」

　雪の舞う夜。すっかり日も沈み、あたり一面が闇に塗られた真っ暗な夜。そんな遅い時間にも関わらず、戸口をノックする音と共に誰かの声が聞こえてくる。

「ねえ、いる、でしょ？」

　外は寒い。外は暗い。外は怖い。

　——だけれども。

「一人、感じさせる。けど……でも……」

　——だとしても。

　きっと、あなたがいてくれたなら、すべて問題なくなるから。だから。
　そっと扉を開けると、そこにいたのはどこか不安そうな顔をしたカルウェット。だがそれもすぐに満面の笑みに塗り替えられる。

「お邪魔、します……」

　ここまで来るのにどれほどの時間をかけたのか、上着に積もった雪を払って扉を潜る。暗く寂しい外から、暖かくて優しい中へと。
　どうしても、この日この夜に、会いたくなってしまって。居ても立っても居られなくなって。だから暗くて寒い夜道をただ一人、迷わないように提灯を携えて。たとえどれほど離れていようとも、会いに行く、ただそれだけのために。

「ひっひー、会いに来る、しちゃった……」

　——あいにきたよ、と。


　※SS担当者：外持雨