イラストSS

　シャイネンナハトの日、今日は一日かけて二人で準備をすると決めていた。 旅人たちが持ち込んだ文化、クリスマスツリーを見よう見まねで飾ってみたり。 大きなベルとリースを扉へ配置して、部屋のあちこちには雪だるまが微笑んでいる。 料理もちょっと良い食材を使って一緒に作ったもの。
　酒はヴァレーリアが一番良く飲むから、彼女の舌と料理に合わせたものを。 とはいえ、飲みすぎたらマリアが楽しくないから最高級を一本だけ。
「この輝かんばかりの夜に、ヴァリューシャ！」
「ええ、マリィ。この輝かんばかりの夜に！」
　最初のスポンジがうまく膨らまなくて慌てた手作りケーキを食べ終えればヴァレーリアの悪戯な 笑み。
「マリィ、分かっていますわよね？」
　もちろんだよとマリアが自室へ一度、戻ってから後ろ手にプレゼントを持ってリビングに戻る。 「せーの」の声も揃えて、それぞれへプレゼントを差し出す。
　お互いがお互いの為だけに選んだものを、見せて説明して。
　二人のシャイネンナハトは更けていった。


　※SS担当者：桜蝶 京嵐