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貴女と踊って
貴女と踊って
イラストSS
「お姉様、見てください。星が」
しきみが指差す先。鏡面のような湖に星の運河が映り込む。空の星、地上の星。またたく景色にスティアがわぁ、と声を上げる。
「しきみちゃん。行ってみない?」
スティアが言うのは湖面に行ってみないか、と言うことなのだろう。でも、どうやって。としきみが問う。
「私たちは飛べるもの」
スティアがおいで、と手を差し出す。しきみは愛しのお姉様の手を取る。
しきみが水面にそっと足を着ける。しきみとスティアの起こした波紋が広がる。
湖面を歩いているのではない。浮いているのだ。飛行能力。特異運命座標の力。
「踊ろうよしきみちゃん」
輪になりステップを踏む。くるくる、くるくると回る。
スティアがしきみの手を引きリードする。しかしよろける。しきみがそれを支える。
「しきみちゃんの前ではお姉様でいたかったのに」
「お姉様はお姉様、ですよ」
しきみにはその心遣いが嬉しい。
「まるで星の中で踊っているみたい」
スティアが目を細めて微笑む。
「踊るお姉様はまるで妖精のようです」
呼応するしきみ。
ちらちらと輝く光に包まれる金と銀。大きな銀河の前で二人のシルエットだけが見える。二人が踊るとささやかな波がゆらゆら届く。
※SS担当者:7号