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鋼鉄探偵と赤星司祭　食い逃げかお手柄か

『シャイネンナハトの逮捕劇　鋼鉄探偵と赤星司祭　食い逃げかお手柄か』
　スチールグラードで起きた特殊詐欺事件について、当局は自称闘士の男サギモフ・カネスキー容疑者（34）を逮捕した。
　容疑者は十二月二十五日ごろ、二十代の女性へ「この先に七面鳥の配給がある。カップルしか受け取ることが出来ないため彼女のふりをしてほしい。まずは銀行からお金を引き出してきてくれたら、後で還付金を支払う」などとしつこく持ちかけ、偶然駆けつけた鋼鉄探偵ヴィクトリア・ラズベリーベル氏、並びにクラースナヤ・ズヴェズダーの司祭ヴァレーリヤ＝ダニーロヴナ＝マヤコフスカヤ氏に、酒瓶で頭を殴るなどの推理によって取り押さえられた。両氏は近くの飲食店で食事をしており、被害者の悲鳴を聞きつけ即座に現場へ向かったという。被害者女性は本誌に対して「（両氏が）還付金という単語を聞いた瞬間に殴りかかったのは、名推理だと思った」と語った。
　容疑者は当局に対して「彼女のことがずっと好きだった。聖夜に小闘技場を貸し切らせ、彼女と拳で語り合いたかった。金と酒と肉と女がいっぺんにほしかった。ガハハ」などと容疑を認めている。
　一方、ラズベリーベル氏とマヤコフスカヤ氏については食事の代金を支払わずに店を出たとして、当局へ被害届が提出されていたことが、取材により判明した。
　被害届は昨夜未明、虎を名乗る勢力から謝罪文と多額の示談金が届いたとして取り下げられた。
　ラズベリーベル氏とマヤコフスカヤ氏は本誌の取材に対して「詐欺は犯罪。還付金という単語を聞いたら、身の安全のため迷わずに相手を殴ってほしい」と訴えた。当局は両氏を講師とて招き、有志による特殊詐欺対策の講習が開かれる予定。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　――スチールタイムズ　三面

　※SS担当者：桜田ポーチュラカ