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ヴェガルドおおおおおお!!!
ヴェガルドおおおおおお!!!
イラストSS
小高い丘から見下ろすと、雪景色の中に仄かな街灯りが瞬いている。
「ったくよ、これじゃまるで泥棒だぜ。忍び込むよりゃ正面から行きたいねえ」
「やるべきことは、まるで真逆なのですから、いいじゃありませんの」
ヴァレーリヤとヴェガルドの二人が夜更けの孤児院に居るのは訳がある。
この聖夜に、子供達へプレゼントを配っている訳だ。仕込んだウォトカでヴェガルドを釣ったヴァレーリヤは、こうして力仕事の手伝いをさせているのだった。そんな訳で、一応『聖務』である。
「知ってるか? こうやって振り回すと、そのまんま固まるんだぜ。ダハハ!」
「そんな大声出したら子供達が起きるじゃありませんの。そんなことより――」
空になった袋をぶんぶんとやっているヴェガルドをたしなめていると、ふと懸念が浮かんだ。
「――ソリはちゃんととめてあるんでしょうね?」
「お?」
「まさか……」
ヴァレーリヤがあわてて振り返る。
ソリには、他の孤児院にも回るため、まだまだ大量の玩具が積まれていたはずだ。
ということは。
「また細けえな。あんたって。おい、あれ動いてねえか?」
「ええ、動いておりますわね」
ソリが徐々に速度を増し、一直線に駆け下りてくるではないか。
「おおお、ちょ、あんた。ああああああ!?」
二人は走った。
ひたすら駆け抜けた。
「ヴェガルドおおおおおお!!!」
なのに、もう。それはすぐ後ろに――
*SS担当:pipi