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恋屍・愛無のmochiによるおまけイラスト
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「いつも、そうなのか?」
愛無が静かに問う。
「ううん、いつもは中盛りよ。けど――」
首を横に振ったリーヌシュカはコートを脱ぎ、シュシュで髪をくくる。
それから五枚もの食券をカウンターに並べた。
「――今日が何の日か知ってるでしょ?」
「ああ」
「君の」「わたしの」「「冬期休暇(ふゆやすみ)が始まる日」!」
――へい、お待ち!
雷紋の丼を飾るのは、ラーメン、大盛り、海苔、チャーシュー、煮卵だ。
まずはスープを一口。香味野菜と鶏ガラの風味が舌先で踊る。
全粒粉の中太ストレート麺を噛みしめれば、小麦の素朴な風味が鼻腔をくすぐった。
聖夜のラーメン屋は妙に空いているが、二人は気にすることもない。
軍人であるリーヌシュカにとって、争いが消える特別な日に、『ごく普通の日常』を味わいたいと感じるのは、ある意味では当然の心境とも言えるのだろう。
――そして。
「お腹いっぱい!」
愛無は、幸せそうにお腹をさするリーヌシュカをじっと見つめると、カラフルな小箱を取り出した。
こういうものも、忘れてはいけないから。
「輝かんばかりのこの夜に」
デスゲームの主催者――じゃない。宇宙ビーバー印のドーナツセットだ。
「というわけで、今年も良い子にしていたリーヌシュカ君にプレゼントを持ってきたよ。もしよかったら携行食がわりにでもしてくれると嬉しいな」
「愛無! ありがとう!」
受け取ったリーヌシュカは、満面の笑みで答えた。
「輝かんばかりのこの夜に!」
*SS担当:pipi