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ただ、一人に捧げる自分なりの愛
ただ、一人に捧げる自分なりの愛
イラストSS
遥かなる霊峰の空高く、極光を切り裂いて紅蓮の流星が奔る。
炎を翼とし、ウォリアがその美しい空をゆっくりと見せるかのように舞う。彼の背にしっかりとしがみつくのは、白髪の女性。
「ウォリアさんウォリアさん! すっげー綺麗っすよ!」
はしゃぐリサの声をウォリアは鼻で笑うように静かに受け流す――唯一人、自分が背に乗せる事を許す相手に自分だけが知りうる絶景を見せる、その行為と彼女の感想に心が踊らないわけがないのだが。
「__楽しんでいるようだな。連れて来た甲斐があった……オマエにだけ、特別だ」
片手を離し空を人差し指で示すリサにウォリアはそう語りかけると吹き抜ける風を炎の翼でしっかりと妨げる。自分たちの聖夜に、冬の寒気であろうと水をささせはしない。
「高度を上げる……しっかり掴まっていろ」
風を斬り、ウォリアの翼が力強く羽ばたき、更に空高くへと舞い上がる。更に近づいてくる光の中、リサの歓喜に満ちた大声が響く。
「すっごいっすよー! こんな素敵な所を案内してくださってありがとうっすよ!」
鎧に宿ったウォリアの炎は寡黙で感情を殆ど示さない。だが、その言葉に安堵と喜びの感情をウォリアが抱いている事は、言わずともリサは知っていた。
※SS担当者:塩魔法使い